俳句会:作品集(令和7年1月~)
令和7年の俳句会

12月
ピカチュウに着せる聖夜の一張羅
一井 魁仙
いもうとの恋の終わりを聞く炬燵
田中 今日子
愛犬に添い寝のおとこ外は雪
栗原 むつ子
娘とも友とも思ふ小春かな
秋庭 菊枝
白薩摩取り出してくるクリスマス
新倉 村蛙
十二月八日ざわわと風が哭く
小林 薫
冬銀河ゆっくり話してくれないか
吉田 慶子
冬の朝アールグレイの光る湯気
富岡 隆一
海に雨ひろやかに降りクリスマス
渋谷 かや
あんバター罪滅ぼしの縄跳びや
舟田 優江
鏡の目時のひずみや山眠る
加藤 なほこ
去年今年旅は道連れ世は情け
二村 吉光
聖夜から蓋を取り去る山頭火
山本 和子
縺れたる記憶の人と冬時雨
高池 俊子
焼きたてのクロワッサンへ散紅葉
渋谷 かや
街荒し帰路を失ふ穴持たず
富岡 隆一
ゲレンデでクレープホイップは二倍
舟田 優江
おしろいの夕日に浮かぶしたたかさ
染谷 洋子
霜月を番外編で埋め尽くす
山本 和子

11月
憂国忌風もないのに血が騒ぐ
一井 魁仙
風邪の子やリボンの騎士と桃缶と
秋庭 菊枝
ピカチュウを振って叩いて毛布干す
盛 真由美
冬日向キリンと君が笑う午後
小林 薫
風向きに身を入れ直し冬の蝶
新倉 村蛙
ポスターの口紅濃しや冬に入る
倉又 圭子
遺伝子を運ぶ旅人冬銀河
田中 今日子
冬空へクレーン刺さる安息日
国藤 習水
百年もひと夜も同じ木の実降る
栗原 むつ子
地図上の母校も五ミリ天高し
加藤 なほこ
逝く秋を乗せて消えゆくローカル線
二村 吉光
アトリエに葱臭放つ男来る
西 乙子
罅に盛る白き軟膏祖母の影
青山 智子
縺れたる記憶の人と冬時雨
高池 俊子
焼きたてのクロワッサンへ散紅葉
渋谷 かや
街荒し帰路を失ふ穴持たず
富岡 隆一
ゲレンデでクレープホイップは二倍
舟田 優江
おしろいの夕日に浮かぶしたたかさ
染谷 洋子
霜月を番外編で埋め尽くす
山本 和子

10月
火遊びの余熱を指に風の盆
一井 魁仙
少しずつ花野になってゆく棺
田中 今日子
秋うららアトムの靴はキュキュと鳴る
盛 真由美
思い出を杖に語りつ十三夜
二村 吉光
苔木耳の勲章少年の膝に傷
栗原 むつ子
こぼれ萩女である事思い出
秋庭 菊枝
流れ星いざ断捨離のトゥシューズ
西 乙子
窓開けて朝一番の金木犀
小林 薫
数秒を共有し消ゆ秋の蠅
国藤 習水
さはやかに二人顔出す車掌室
渋谷 かや
無月なる歯磨き前の団子かな
富岡 隆一
秋の夜やレモン彗星巡り来る
倉又 圭子
秋日傘ラジコンカーを迎え撃つ
新倉 村蛙
山ぶどう存在意義のせいくらべ
加藤 なほこ
天高し隣りと会話の弾みたる
青山 智子
目の前を落ちる一葉よ秋めいて
舟田 優江
毛筆にハネる癖あり鉦叩
山本 和子

9月
百日紅散ってノートに血の匂い
一井 魁仙
ブルーインパルスいま秋天を裏返る
西 乙子
秋風や山門くぐる潮来笠
二村 吉光
三日月の境界線に紅を引く
新倉 村蛙
石仏に千の表情秋の雨
国藤 習水
天高しギターケースの三ユーロ
盛 真由美
エピオルニスの卵殻の罅星流る
渋谷 かや
AIに答え求める終戦日
染谷 洋子
秋入日麗しき横顔左打者
小林 薫
おぶわれてバスへ手振る子秋夕焼け
青山 智子
爽やかに掛緒断つ音響きたり
倉又 圭子
マトリョーシカこけしのみ込む雁渡る
加藤 なほこ
鱗雲地下に隠るる放水路
冨岡 隆一
暫くは神田の生まれよ祭りあと
山本 和子

8月
昼寝覚ピカソの女に恋をして
一井 魁仙
天も地も横に眺めて捨案山子
盛 真由美
鉛筆で仮の補助線原爆忌
田中 今日子
ジャム塗り続け塗り続け原爆忌
新倉 村蛙
狐の剃刀咲いて乳房の尖りたる
栗原 むつ子
人生けど色無き写真終戦日
富岡 隆一
行き場無く惑う蝙蝠天狭し
舟田 優江
夏祭り恋人未満ライン超え
加藤 なほこ
盆帰省泣き虫坊やが研修医
小林 薫
髪結へば色なき風の速くなり
西 乙子
仕舞屋の自販機うなる秋暑し
青山 智子
天皇の膝の角度や終戦日
二村 吉光
キラキラネーム名刺差し出し生ビール
国藤 習水
もうひとりが逃げろとさけぶ捕虫網
山本 和子

7月
短調で語る昭和史夏怒涛
一井 魁仙
メレンゲのゆるり角折る大暑かな
盛 真由美
溜息か欠伸か金魚の泡ひとつ
栗原 むつ子
図書館を出でてたちまち蝉の国
国藤 習水
グレゴリオ聖歌に混じる風鈴よ
渋谷 かや
かたまりのひよこを選るや夜店の灯
山本 和子
飲んだのは爆弾だった百日紅
新倉 村蛙
娘らに両手うばわれ夏散歩
舟田 優江
それぞれの日傘の中に小宇宙
染谷 洋子
キャンプ村八分音符の上機嫌
大槻 さらん
晩夏光まばたく亀の告ぐ何か
西 乙子
青春の良し悪し溶かしミントゼリー
倉又 圭子
一号車東寺右手にゆれる麦酒
小林 薫
歳時記は夏追憶の青は濃く
青山 智子
冷やっこ木綿派に見る頑なさ
秋庭 菊枝
蓮が見る夢のほとりに倦むばかり
風月 純史
面白し朝顔市の並ぶ人
富岡 隆一
茉莉花に今日も傾く弥次郎兵衛
加藤 なほこ

6月
梅雨湿り束ねられない詩の欠片
一井 魁仙
夾竹桃デイサービスへは紅をさし
柴田 郁江
曲り茄子啼くほど詰めて直売所
田中 今日子
ドクダミの侵略家主は留守につき
新井 智子
登山小屋あと十キロの成層圏
西 乙子
父の日やことづて背負うちらし寿司
加藤 なほこ
父の日の父の写真を拭きにけり
渋谷 かや
江戸前の女の風情かきつばた
秋庭 菊枝
父の日や父そっくりの足の甲
国藤 習水
育てよと強く念じる芒種かな
倉又 圭子
前頭葉鈍る音して梅雨入りかな
栗原 むつ子
ハンモック誰も一人の時を持つ
盛 真由美
冷酒や心溺れる午前二時
小林 薫
更衣意外や母の柳腰
二村 吉光
波しぶき赤水門や蛍狩り
富岡 隆一
水筒をサーッとすすぐ夏の朝
舟田 優江
描線は廃墟の中へつばくらめ
山本 和子

5月
夏燕ボレロのやうな恋をして
一井 魁仙
鏡からアオスジアゲハ出て戻る
栗原 むつ子
横顔に木漏れ日蒼し聖五月
国藤 習水
夏めくやカラスに庭を譲る朝
盛 真由美
初夏や青墨のよく滲みたる
新倉 村蛙
鏡の中の自分から夏に入る
柴田 郁江
母の日よジャンヌダルクは羽を持ち
山本 和子
一瞬で過去手繰り寄せ柏餅
加藤 なほこ
青嵐チアボーイ等の高く舞い
秋庭 菊枝
聖五月鉄輪にまとむ鍵の束
渋谷 かや
崩れ落つ設ひ牡丹の潔さ
倉又 圭子
庭の葉を食む青い子ら夏きざす
小林 薫
国境線変える駆け引き麦の秋
田中 今日子
夏の朝水たまりの蒼穹またぐ
舟田 優江
初人事ローカル線の無名駅
二村 吉光
石楠花の今年も咲くなり父の庭
染谷 洋子
ブラインドの影きはやか夏近し
青山 智子
母の日や肉じゃがと待つお留守番
富岡 隆一
沙羅の花うろこ剥がるるシャワー強
西 乙子

4月
たんぽぽやきのふの恋の着地点
一井 魁仙
濾過されて残りし記憶春の海
柴田 郁江
ふらここや角度を変えてピタゴラス
山本 和子
夫亡くて夫のぬくさの春炬燵
田中 今日子
老犬の背に陽の匂い柿若葉
栗原 むつ子
朝雲雀如雨路の水の伝ふ肘
西 乙子
熊蜂や知らんぷりして待つ抜糸
富岡 隆一
苦と楽の境界線や花観酒
加藤 なほこ
弾力の聖水一滴夏近し
国藤 習水
小さき子のヘタなスキップ風光る
舟田 優江
夜桜や負ふ子の錘りに揺られつつ
倉又 圭子
AIのあまりに謙虚花の冷え
盛 真由美
菜の花として見送ってをり青いバス
新倉 村蛙
夫淹れし珈琲苦し雛納め
染谷 洋子
昨日まで笑いし山も燃えにけり
二村 吉光
主待つ壊れたままの燕の巣
小林 薫
青ざむるごとく咲き満つ桜かな
渋谷 かや

3月
菜の花や終の住処と言ふほどの
一井 魁仙
春風の付録のような新生児
山本 和子
啓蟄やアンモナイトは泳ぎだす
栗原 むつ子
巴投げ決まりし声や初桜
冨岡 隆一
寝込む子の背中とんとん外は雪
舟田 優江
玉の緒の絶えて田螺は愚痴残し
新倉 村蛙
春の夜はエンドロールの長さほど
国藤 習水
キッチンにJK四人水温む
盛 真由美
春泥を踏んで覚悟の舞妓かな
二村 吉光
開いては又翅を閉づ蝶の息
西 乙子
猫の舌零し飲むかな春日向
倉又 圭子
往診の大先生や風光る
秋庭 菊枝
橋脚に銃痕のこし鳥帰る
渋谷 かや
長閑さを二人占めする美術館
小林 薫
古希迎へ恥じらいつつも雛祭り
加藤 なほこ

2月
毛糸編む愛の欠片といふほどの
一井 魁仙
探梅や地図に乗らない別れ道
国藤 習水
仮の世と彼の世の間の薄氷
田中 今日子
陽を探す猫の背中の余寒かな
盛 真由美
春隣り二足歩行が広くなる
山本 和子
春めきぬ三角四角の子供椅子
西 乙子
戦場に飛ばしてみたいスギ花粉
二村 吉光
紙ナプキンに紅茶染みゆく春の暮
渋谷 かや
Qちゃんに会いに駆けゆく梅の里
小林 薫
アネモネの花「それいゆ」のワンピース
秋庭 菊枝
山笑ふ膝よ健たれ十座待つ
倉又 圭子
春疾風道に並べしゴミ踊る
富岡 隆一
立春や私の居場所枡の中
加藤 なほこ

1月
初釜やチャイナドレスが畏まる
一井 魁仙
夫のセーター重ねて着ても胸寒し
田中 今日子
前世はシャム人四日のトムヤムクン
西 乙子
福寿草ふたりの歩幅そのままに
秋庭 菊枝
白無垢に幸せ添える冬紅葉
染谷 洋子
年表の一行となる震災忌
山本 和子
湯豆腐や大人になってわかるもの
舟田 優江
大雪も隠せぬほどの大悪手
小林 薫
相老て歩くが日課冬日和
富岡 隆一
山門をくぐる速度や初句会
二村 吉光
左義長やダイヤモンドはただの石
新倉 村蛙
三枚の戸をくりだして冬の暮
渋谷 かや
初みくじ圏外にある恋占い
加藤 なほこ
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